どうか誰にも見つかりませんように、と思った矢先ばったり鉢合わせになった。

ついてないことは重なって起きるもので。





after all





いつもの笑顔が消えていき徐に目を細めるバルフレアと、対照的に引きつった笑顔を作る

「・・・・」

「・・・・」

その場から立ち去ろうとするに気づきすぐにその腕を捉まえる。

「悪気は無いの、だから」

「だったら何で逃げるんだ。疚しい証拠だろ」

「ごめんなさい、でも別に問題は・・・」

「ある、大体なんでこんなに汚れてるのか説明してもらおうか」

「転んだのよ」

「前に言ったろそれは、、、。2度目はないぞ」

「・・・・・・・・・・・・・本当なんだもの」

「・・・・」

の頬に手を伸ばし汚れを拭うバルフレアは溜息をつきながらも口元をあげた

「・・・・・分かった」

「え、ありがとう、分って―・・ッ!!!」

突然体が浮き上がり視界が変わる。
腰に手が回され足を支えられ肩へと担がれ荷物のうような扱い。


「白状させる」

「ちょっと、お、降ろして」

「逃げるだろ」

「そんな事しないから」

「ま、どのみち離す気はないけどな」

それ以降観念して大人しくなったは、歩き出したバルフレアの肩に掴まった。

進んでいるのに遠ざかる景色。
目の前にある彼の首筋や背中、軽々しく自分を持ち上げる腕が
やっぱり男なんだなと改めて思った。









そう思ったからこそ―――無理だと言っているのに。

「嫌よ、嫌!降ろして」

「別にいいだろ」

「別に、じゃないわ!だって−」

「初めて見るわけじゃないだろ、今更何恥ずかしがって」

「バルフレアの馬鹿!」

「おいっ、暴れるな」

「離してっ」

「嫌だ」

「嫌だって言うことが嫌!」

「だったら理由を言え。こうなった理由を」

「・・・私が、ドジだからよ」

「ダメだな。強制だ」

「いやっ」

部屋に着いたものの一向に降ろしてもらえない。

それどころか今向かっている先は浴室。
思ってもいない事態には子供の駄々の様に首を振る。

「落ちたら濡れるじゃない!!」

「二択だ。喋るか、落ちるか」

「優しくしてよっ」

「してる」

「嘘だわ!結局両方でしょ!?」

「分ってるならどうするかも解るだろ?」

「っ・・・・もういい」

拗ねて唇を尖らせたを見てゆっくりと下に降ろす。
チラリとバルフレアの方を見れば案の定、口元には笑みがあった。

弄ばれているのか茶化されているのか・・・。
結局それに素直に従うのが悔しくて反発しただけ。

「世話のかかる奴」

「世話好き、でしょ?」

「そう思うか?なら、手伝ってやる」

「結構です、一人で出来ますから」

浴室からバルフレアを追い出し、扉1枚隔てた会話をしながら結局彼の言うことに従う
水の音で時折かき消されながらもこうなった経緯を話した。

「・・・・という事で―・・・・つまる所、私が悪いのよ」

「で?」

「で、って。。。。。」

「腑に落ちない話しだ」

「どうしてよ」

「パンネロとバッシュと討伐に行ったのは分る。さっき会ったからな」

「なら」

「お前みたいに汚れてなかった。それによく見れば擦った感じの汚れだしな」

「!!ずるい、服を検分したわね!」

「論より証拠だ。それともが風呂に入ってる間に事の真相を聞きに行った方がいいか?」

「ちょっと、待って!」

「どの道、後で怒られるのは目に見えてるだろ」

「だって、、、欲しかったんだもの」

「何を?」

「花。。。。ガルバナの。バルフレアにあげたくてそれで」

「まさか、お前・・・・―」

「で、でもね!!下でバッシュが抱き留めてくれたから怪我はしてないわ!本当に本当!!」

絶対怒られる、そう思って体を竦めるが一向に言葉がない。

「バル、フレア・・?」

・・・・」

「は、、はい」

「俺の為だったのか」

「へ?」

予想だにしない返事に声が裏返った。

「お返ししてやる、恥ずかしかったらそっち向いてろ」

「そ、それは仕返しでしょ?!ちょっと待っ―」

強引に開いたドア、そして強引に抱き上げられ、落ちる様に2人仲良くバスタブの中に沈む。
咳き込むをよそに唇を塞ぐようにキスをするバルフレア。

「俺が洗ってやる」

「危ない事したのは謝るからっ」

「そういう問題じゃないだろ」

「だって―」

「考えなくたって解る」

例えどんな理由が成立したとしてもお前は俺のものだから、触れていいのも俺だけだ。
その原因を作ったのが自分だとしても、巡り巡って戻ってくる。

結局俺の為になるのだから怒る替わりに愛情を――